改めて【ミャンマークーデター】について

タイのコラム

2021年2月1日に発生したミャンマー国軍によるクーデターから1カ月以上が経過しましたが、
各地で軍政に抗議するデモが起こっており、治安部隊の武力行使により犠牲者が出るなど、不安定な情勢が続いています。

経済面においても、首都ネピドーや最大都市ヤンゴンで大規模なデモが続いていることに加えて、銀行や公共交通機関などで業務のボイコットが広がっている様です。

また、アメリカを始め欧州も追加制裁を検討する等、国際社会からも厳しい批判の声が高まるなど、悪化は避けられない状況となっていて心配ですね。

隣国のタイもクーデターは頻繁に発生していましたが、改めてミャンマーのクーデター発生の背景と影響についてまとめてみたいと思います。

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要旨

2021年2月1日、ミャンマー国軍がアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相、ウィン・ミン大統領および与党・国民民主連盟(NLD)の政権幹部複数名の身柄を拘束。
ミャンマーの憲法では、国家元首である大統領が職務不能に陥った場合は第一副大統領が大統領代理として職務を引き継ぐと規定されており、また、非常事態宣言が発出された場合は立法・行政・司法の各権限を大統領から国軍司令官に委譲する旨が定められています。
今回は、ミン・スエ副大統領が大統領代理として1年を期限とした非常事態宣言を発出するとともに、ミン・アウン・フライン国軍総司令官に全権を委ねた。ミン・アウン・フライン国軍総司令官は前政府の閣僚ら24名を解任し、11名の閣僚を新たに任命しました。

発生の背景

今回の一連の動きは、2020年11月に実施された総選挙における二重投票などの選挙不正を主張する国軍が、政府や選挙管理委員会に対してその調査や対応を再三迫っていましたが、一向に進展が見られない状態が続き、2021年2月1日に予定されていた連邦議会(下院)の開催初日に至ったことが発端となっています。

国軍を今回の行動に突き動かした背景には、総選挙におけるアウン・サン・スーチー氏が率いるNLD(国民民主連盟)に圧勝による危機感があるものとみられています。

総選挙でNLDは議会上下院合わせて476の改選議席のうち396議席(改選議席の83%)を獲得したのですが、ミャンマーの現行憲法においては国軍に憲法改正に必要となる総議席総数の25%が割り当てられることになっており、国軍が政治的な関与を維持できる状況に変わりはありません。

しかしながら、国軍の支持基盤が厚いとされているマンダレーでの敗退、国民のNLDに対する支持が高まりつつある中で、国軍関係銀の造反も生じたらNLD主導の憲法改正が成立してしまうのではとの懸念も今次国軍の行動に影響しているものと思われます。

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